お客さんをリスペクトするということ


テレビドラマ「アンナチュラル」の最終回、これ以上ない結末を堪能できて、未だに心に余韻が残っている。「最終回が一番好き」とラジオで告知していた石原さとみの言葉に偽りはなかった。亡くなった恋人の遺体が土葬として残っていて、それが犯人を指し示す証拠を握っていたとは、こんな鳥肌が立つ脚本をよく用意できるなと感心してしまう。第1話から熱心に見ていた人にとっては幸福感満載の展開だった。

この3ヵ月はずっと金曜夜を基準点にした生活を送っていた。その割には食事とか集まりなどが重なって、日付超えたあたりの録画視聴がとても多かった。ただ気になるシーンや聞き取れなかったセリフなどを停止・巻戻ししながら見れたので、今思えばこの作品を最大限に楽しむ方法だったのかな。

この作品が本当に素晴らしいのは、視聴者をリスペクトしてくれるところだ。わかりづらい例え方をするならば制作側のスタンスが「あなたのために作りました。喜んでくれると嬉しいです」ではなく「一生懸命作りました。自信作です。よかったら見てみます?」だ。一見同じようなアプローチに見えるかもしれないが中身は全然違う。

視聴率第一主義は前者のスタンスに陥りやすい。わかりやすいカタルシスとあからさまな演出で、視聴者が見たい(であろう)ものに特化した内容・構成になる。精神衛生的に安定をもたらしてくれるし、パターンで縛ることで期待している結末を裏切らない安心感があるけれど、作品に広がりや深みが生まれづらい。

一方、後者のスタンスは決して視聴者に媚びを売らない。作り手の情熱・こだわり・経験によって丁寧に作り上げられる芸術品だ。だから血も涙もない展開で、視聴者を絶望に追い込むこともしばしば。視聴者が決して目にしたいとは思わない(であろう)ものも遠慮なく散りばめてくる。だから逃げられるリスクは常に背負う。でもこの作品は平気でぶん殴ってきた。それはどれほど振り回そうとも、最後に必ず希望を持ち帰らせるという自信と、視聴者はついてきてくれるという信頼が根底にあったから。

死者の声に耳を傾けて、遺された人たちに寄り添う。決して悪人を裁くところにフォーカスを置かなかった部分が全体的に一貫してブレなかった。と思えば現代社会の問題点には鋭く切り込み、完成後の脚本と内容が酷似した出来事が実際に起こったりして、ビックリしたことは一度や二度ではなかった。

何が起こるかわからない。何を見せてくれるのかわからない。思えばこのワクワク感がエンタメの醍醐味だったはず。そんな原点に立ち返らせる本作は最後、初期のメンバー全員が戻ってきたところで幕を閉じた。続編を匂わすメッセージだと解釈したが、とりあえず今は先のことなんかはどうでもいい。終わったばかりのこの素晴らしい作品に最大級の敬意を。

今週末からセンバツが開幕。毎年思うが、対外試合解禁から時間間隔が短すぎるよ。といっても2月中は寒すぎて試合できないか。悩ましいね。

#高校野球

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