あったことをなかったことにさせないということ


テレビドラマ「アンナチュラル」にハマっている。法医学がテーマの作品で、現代の社会問題を残酷に切り取りながらも、最後に必ず希望を持ち帰らせてくれるので、毎週の楽しみになっている。大げさでなく、現在の生活の基準点は放送日である金曜22時に置かれており、日々、放送を待ちわびながら過ごしている次第だ。

たった一時間の中で、引きつられる展開をいくつも用意しており、スピーディなおかつ濃密に、キャスト一人一人の魅力を引き出す演出と脚本に、いつも感心させられている。特に労働問題に焦点を当てた先週放送の第4話は見ごたえ十分で、翌日の再放送も合わせて5回ほど繰り返して見てしまった。全シーンのセリフを空で言えるくらいに脳裏に焼き付いている。

大流行中のロールケーキ製造工場で働く4人家族の主がバイク事故を起こし死亡。バイク保険は期限切れ、生命保険は未加入の状態で逝ってしまい、2人の幼い子どもの将来も含めて現実に途方に暮れる奥さん。損害賠償請求ができるか否か、死因特定のため、死体を解剖するところから物語は始まった。

過労(会社)、ブレーキ故障(バイク屋)、持病の見落とし(病院)のいずれか。死因特定が詳しいところまで進まない中、各々の責任の所在を他人に押し付けあう大人たちの姿に小学生の長男は心を痛める。特に数か月間、早朝から終電過ぎまで休みなく工場で働いた記録をごまかしたあげく、弁明ができない故人を攻撃した職場の工場長はこの時点で今回のエネミーと目されていた。

しかし物語が進む中で、死亡事故の1か月前にも事故が起こっていたことが判明した。社長出席のパーティでケーキを届けた際に起こったものとみられ、そのときの傷が致命傷になった可能性が明らかになっていく。一方、そのころ工場長も過労で倒れて入院。従業員たちの苦しみを目の当たりにしながら、社長からの圧力を受け入れざるを得なかった管理職の悲哀を背負い続けていた。自身にも過労死が忍び寄ったこと、父が社会に抹殺された憎悪を販売店への投石でしか対抗できなかった故人の息子の無念が工場長にひとつの決意を抱かせる。

退院直後、職場に直行した工場長は製造ラインをストップさせ、全従業員に2日間の休養を明言した。血相を変えて怒り狂う社長に反旗を翻し、製造を中断。故人の事故の手がかりとなる2000か所ほどのマンホールをしらみつぶす調査の協力を多くの従業員を携えて登場したシーンに胸が熱くなった。

人海戦術が功を奏し、マンホールの特定に成功。防犯カメラには事故の様子がきちっと映っていた。この時に負った傷が1か月後のくも膜下出血を引き起こした事実を証明するには十分な証拠資料となった。回想シーン。理不尽の最中でアスファルトに身体を強く叩きつけられた労働者、搾取するだけして自分は羽目をはずす経営者、団欒しながら父の帰りを待ちわびる家族、全ての人の上空に等しく美しく打ち上がる花火が切なかった。事故での転倒と床に落ちるケーキのモンタージュも。。。。

あったことをなかったことにされる。そんな不穏な世の中に一石を投じてくれた放送回だった。まだ余韻が残っている。次回は何を訴えてくれるのだろうか。

先日、空いた時間を使って伊豆へ温泉に浸かりに行ってきた。日帰りでコスト抑えめの旅行だったが、のんびりできて良かった。寒いけど桜の咲く季節はもうすぐ

#雑感

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