お金を判断基準に入れるということ


今年も残すところ、あと一週間。報道の仕事一辺倒だった以前に比べたら年末年始のスケジュールに大きな余裕が出てきた。むやみやたらに仕事を入れて、生活資金を何とか確保する状況から、あえて仕事を入れずに、その空いた時間を今後に向けた勉強(投資)に費やす方向にシフト。結果が出るまで時間がかかるのでヤキモキするが、いったんは自分の決断を信じたい。

それでも生活にそこまで影響がないのは精神的な余裕をもたらせてくれる。以前よりも単価の高い仕事ができるようになった面が大きく、そこからまた仕事の中で、あるいは自主的な勉強の中で能力を磨いていき、より高い単価の仕事を手に入れるというサイクルに入っていけたのだと思う。やはり収入源を複数持つことはよかった。当月の生活が苦しくなったり、見通しが立たなかったのだとすれば、目先の稼ぎに集中しなければならなかったはずだから。

先日、NHKの「プロフェッショナル~仕事の流儀~」で当方が尊敬する苑田聡彦さんの特集が放送された。学生や社会人で獲得したい新卒選手の品定めで日本各地を足しげく通う姿がお茶の間に流された。自身の仕事に対する信念やこだわり、情熱、そして愛情がこれほどまで可視化できる方も珍しいのでは。技術だけでなく、人間的な部分も隈なく観察されているところがまた印象的だった。

ただその放送の中で自身の苦い経験を振り返るシーンがあった。それは逆指名制度による有望プレイヤーが資金力のある球団に大量に流れていく時代にスポットがあてられた場面だった。「誠意は金だ」とアマ側から言われ、財政的に他より厳しい中、撤退を余儀なくされたことは数えきれないほどあったのだろう。「そういうのは大嫌い」とはっきりと口に出したところはこれまでの辛い記憶が積み重なった反動だったに違いない。

見ていて切なくなったのは「誠意は金だ」という考え方は少なくとも当方にも持ち合わせていたからだ。金額の大小で自分の進路を決めることはむしろ普通のことで、実際に働く前に何億っていうのはさすがに次元が大きいけれど、生涯手にできる額があらかじめ約束してもらえるのなら、そこを判断基準にして進路を選ぶのは何ら悪いことではない。

昨今のブラック企業に対する風当たりの強さは、言うなれば「誠意(やりがい、感謝の言葉)を示せさえすれば、お金なんて払わなくてもいい」という流れを広げてしまったからこそ起こったことで。

お金がないから、せめて誠意を示すことで振り向いてもらう努力を懸命に行なってきた苑田さんの仕事ぶりの素晴らしさを思う一方で、その概念を間違った解釈で悪用する大人がいることを歯がゆく感じている。素晴らしい番組だったけれど、当該シーンからは素直に楽しめない自分がいた。

自分に置き換えてみても、今は単価そのものよりは5年後、10年後に価値が生まれるような仕事を選ぶようにしている。けれど「お金は二の次です」という立ち位置を表明することで、悪い人が近寄ってくることを極度に恐れている。かなり。なので交渉に金額を持ち出すこともザラにあり、そのあたりに葛藤がある。

悪い大人という表現をしてしまったけれど、彼らも彼らでお金を出したいけれど、出せない状況に苦しんでいるところもあり、そうしてみると何か全員が気持ちよく仕事ができる状況にさせるのは非常に難しいのだな、と改めて感じる。どうすればいいのか。果たして時間が経てばおのずと良くなっていくものなのかな。

番組で苑田さんが捕球手前で細かいステップが踏める部分に着目して内野もイケると期待をかけられた永井敦士。どういう風な使われ方されるのか興味深い。

#高校野球

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