若手のために舞台を用意してあげるということ


2週連続で台風。本当に参った。また案件が中止になった。
せっかくだからいつもよりも多く寝てみたり、買い物の時間に充てるなど、急にできた時間を少しでも実りあるものにしようと試みたけど、あんまりしっくりこなかったな。予定が狂うのはメンタル面でタフになる。
それでも個人的に心温まる出来事があった。
案件契約中の客先で先日、社員旅行が催されていた。
通常ならば勤務日であるはずの平日に開催されていて、思わず企業としての懐の大きさを感じてしまった。
ちょうどその日は客先で作業していたので、いつもフロア中にたくさん人がいるのに、当たり前だけどすごい静かだった。
面白かったのは社員旅行を欠席し、残って勤務している方々が一定数いたのだが、そのほとんどがそれぞれの部署の役職者たちが占めていたことだった。
もちろん若いスタッフも何人か残って勤務していたし、役職に就いている人の中でも社員旅行に参加している人はいたけど、割合的にはいわゆるベテランの方が圧倒的に多かった。
若いヤツらは楽しんでこい、ということなのかなと思った。
部外者がわかったようなことを言ってはいけないけれど確信はある。
それは自分自身が体験してきたものでもあったからだ。体験の中身は全く正反対のものだけれど。
当方が昔勤めていた会社でも社員旅行はあった。だけどまったく楽しいものではなかった。笑
基本的に経営陣の接待のようなもので、企画は従業員がやるのだけれど、意向は全て上の人たちの希望で占められていた。
日程も土日の2日間。平日5日間を両隣にした計12日間連続勤務なんて揶揄されていたが、本当にそんな感じで、欠席したいけれど実際にしたら査定に響くとかいう噂で外堀を埋められ、年に1度の罰ゲームのような位置づけだった。
主役は経営陣。夜の宴会なんかはその年の新入社員がせっせとお酒をつぎにいく姿が毎年の光景だった。
日々の業務でも年上の人たち相手に緊張しているのに…。傍から見てもいたたまれなくなって鬱屈になった。
年中無休営業の会社だったから、数人は社員旅行を欠席して勤務にあたらなければならない。
それでもその勤務を希望する若いスタッフがある程度いたのがおかしかった。
経営陣に近いところにいる役職者たちも立場上、欠席するわけにはいかないので、社員旅行期間中に営業時間を守るのは若手の役割だった。
だから留守中の客先を役職者が縁の下を支えている構図はとても新鮮で眩しく見えた。本当の実態はどうなのかわからないけど、社内イベントを楽しむ若手社員の様子が容易に想像できる。年中長時間練習している強豪校の野球部員が、文化祭や体育祭で思いっきりはしゃいじゃうような。
客先が大企業たるゆえんを見たような気がした。
思いっきり楽しんだ若い彼らもキャリアを重ねて、ゆくゆくは「楽しんで行ってこい」と若手の背中を押す日がくるのだろう。
翌春のセンバツ出場校を決める関東大会が閉幕。なんとなんと中央学院が優勝。花咲徳栄、東海大相模とここ近年の夏の全国王者に競り勝ち、初の甲子園を確実なものとした。
思えばあと1勝で甲子園という状況で作新学院に粉砕された昨秋からちょうど一年。悔しい思いをすることは、すごく大きなエネルギーを生むのかな。