原点に帰ることと武器を駆け引きに使うこと


11月29日、八王子市上袖木陸上競技場で開催されたラグビー関東大学対抗戦。

帝京が筑波に敗れる波乱が起きた。現在、大学ラグビー界の絶対王者として君臨する帝京が大学チームに負けたのは50戦ぶり。

前半17点差のリードで折り返す展開だったのにも関わらず、帝京は敗れた。

そこにはボールに対する人数をいかに早く、そして多くかけられるか。

ラグビーの原点を思い出させられるような戦いを筑波が講じてきたからだった。

序盤はパワーに優る帝京のFW陣が接点での強さを発揮し、帝京が高い位置でボールを保持する展開となった。

中央で次々とラックを作り、筑波のラインを中央に絞らせる。

そこから大きな展開で圧倒的な走力を誇る左右の両ウイングにボールを配球し、手薄なブラインドサイドを一気に攻める。

おそらくゲームプラン通りの入りだったのだろう。竹山晃暉が2トライ、尾崎晟也が1トライと得点者がその狙いを物語っている。

前半に3つのトライを奪い、相手を無失点に抑える。

経過だけ見れば完璧な試合展開に思えるが、帝京の選手たちは首を傾げながらハーフタイムを迎えた。

松田力也の珍しいキックミスやラインアウト、ハンドリングのエラーがいつもより目立っていたためだ。

このしっくりいかない感じ、違和感は後半に形となって表れることになる。

後半、開始直後から筑波はボールサイドに人数をかけてきた。

帝京のボールキャリーに対して複数がアプローチ、タックル成功後も帝京のサポートよりも早く他のFW陣が密集に加わることでターンオーバー、ノックオンを誘発するシーンが増えていった。

また筑波の攻撃時、ボールキャリーに並行して2,3人がその近くを走り、パスの選択肢を多く確保。帝京のディフェンスのアプローチを迷わせることで思いっきりの良いタックルを封じこめた。

このようにボールに対する人数を多く配置させることで後半、筑波のペースで試合が進んでいくことになる。

筑波がPGで3点を返し、その直後に帝京の森谷圭介が自陣深くで信じられないノックオンをおかし、それがキッカケでトライを奪うと流れは一気に筑波に傾いた。

ここで狼煙を上げたのは福岡堅樹だった。

後半25分過ぎ、左サイドのタッチライン際を持ち前の走力を活かした突破で大きくゲイン。このプレーがキッカケで稗田優志のトライを奪い、とうとう1トライで逆転できるところまで差を縮めた。

ボールサイドに人数をかける筑波に対し、帝京がそこに舵を切れなかったのは福岡の存在が多分に影響していた。後半の筑波は右サイドを起点に密集を作って、福岡のいる左サイドでトライを奪う狙いを常に見せていた。

前方にスペースを与えた時の福岡は非常に危険な存在。帝京としてはそこは必ずケアをし、数的不利でも抜群の強さを誇るFW陣の粘りに託した形となった。

一人、強力なウイングがいるだけで戦い方は幅を広げるもの。

そして筑波がとうとう逆転する。右サイドのラインアウトからのサインプレー。モールを作るかと思いきや、中央から斜めに走ってきた鈴木啓太がボールが渡ってトライ。

ラックから左ウイングの福岡への大きな展開を露骨に嫌がる帝京はここでもボールサイドの守備に集中し切れていなかった。その隙を突いた攻撃だった。

残り時間の帝京の攻撃を振り切り、ノーサイドのホイッスル。喜びを爆発させる筑波フィフティーンの姿が、逆に帝京へのオマージュを映し出していたように思う。

ボールに対して、早く多く寄せる。ラグビーの原点に返りながら、自分たちの最大の強みである福岡の走力を駆け引き、揺さぶりの材料に落とし込めた筑波の戦いぶりは興味深かった。

また大学選手権での再戦はあるのだろうか。今年も決勝で当たれたら面白いと思う。東海と明治が黙ってはいないだろうが。

#ラグビー

  • Facebook Social Icon
  • Twitter Social Icon
  • Google+ Social Icon
  • YouTube Social  Icon
  • Pinterest Social Icon
  • Instagram Social Icon
Featured Posts
Recent Posts
Archive
Follow Us
Search By Tags
まだタグはありません。