ボールを前進させるやり方


梶山幹太

森晃太

佐藤亮

森晃太と柳貴博

今年のJユースカップは完全ノックアウト方式に切り替わり、大会期間も例年よりおよそ1ヶ月早まる形となった。

準決勝まではほぼ東日本開催で、ファイナルだけが大阪。かなりの規模の変更点があった。

予算が減らされたのか、一発勝負の痺れる試合を増やしたかったのか。この変更の意図は不明。

ただこの年代のリーグ戦体系が整備されるにつれて、年代別日本代表が一発勝負のアジア予選で勝てなくなったことは少なからず関係があると思っている。

なのでこの変更は割とポジティブに受け止めている。

高円宮杯(U-15)とのバッティングも無くなったことだし。

今回は準決勝からの参戦。

味スタ西で東京vsグランパス、トリニータvsレッズの組み合わせ。

プレミアで上位の東京とトリニータ、プレミアとプリンス関東で下位に低迷しているグランパスとレッズ、この4チームの勝ち上がり。

本当にこの年代の力関係はわからない。その時々のコンディション次第でいくらでも結果が変わっていくのだろう。U-15全国3冠世代のガンバはベスト16で姿を消した。

味スタ西会場ではもはや定番化してきた東京の試合。

トップが近場の柏でアウェー戦があるこの日もサポーターが大挙して訪れた。U-15むさしの面々も見られる。それに負けずグランパスもそれなりの数の観衆が声を枯らす。

この試合のポイントは東京の前線からのハイプレスをグランパスがどのようにしてかわしていくか。

GKにまでチェックを怠らないアグレッシブなスタイルをとる東京の圧力を封じ込めたのは中盤の底に入った梶山幹太だった。

トップからセントラルMFまでマルチな役割をこなす梶山、足を止めずに細かい動き直しを続けられる特性が彼の能力を支えている。

CBがボールを持つ、すぐさま東京の前線がプレスに行く。通常のチームならここの圧力に耐えきれず、縦に長いボールをいれることになるが、梶山がしきりにパスコースを作ってくれるため中盤に建設的なボールが入る。

ここから梶山が前を向いたとき、プレスに行った東京の前線がいるはずのエリアにスペースが生まれる。グランパスはこの東京のハイプレスを逆に自分たちが優位に立つために利用しようと考えていたのだろう。

プレスを剥がせば剥がすほど、その後ろにはスペースが広大に生まれる。

ただ剥がされたときのマネージメントができているのが東京だった。グランパスの中盤が前を向いてボールを持ったとき、トップのプレスに連動して鈴木喜丈、安部柊斗がすぐさまチェックに行ける体勢を整えていた。

トップが剥がされて生まれる広大なスペースを2人で埋め切れる守備範囲の広さ、グランパスは後方でのボールキープは安定したものの、そこから攻撃の形を作ることは簡単にやらせてもらえなかった。

特に誤算だったのが左SB吹々徳喜を高い位置に押し上げられなかったこと。キープはできるが効果的に前にとりつけない。ここの攻防だけでこの試合がかなり高いレベルで推移していることがわかる。

プレスにやられてるわけではないが、それを逆手にとれているわけでもない。

グランパスにとっては何とも言えない状況の中で試合が動いた。CKから柳貴博がプッシュし、東京が先制した。

東京は最終ラインの背後へシンプルにボールを送り、高い位置でボールをキープできる時間帯を作った中での得点だった。

渡邉拓也、岡崎慎と質の高いボールを入れられる選手が最後方にいるのは心強い限りだろう。

先制を許したグランパス、梶山まで運べたボールをどのように前進させていくか。

ここで大きな役割を担ったのが森晃太だった。今大会好調のこの10番には東京のタイトなマークがついており、ボールを入れるには難しい状態であった。

それでも梶山には他に有効な選択肢があったとは言えず、まず森にボールを入れて様子を見ようとした。

森は厳しいマークももろともせず、難しい体勢からキープしてそこから前を向ける技術を持っていた。

もともと持っていた高い能力に加え、動きのキレもあり、ボールを受けたら必ずゴールに向かうプレーを継続していった。

グランパスがボールを持つ位置が徐々に高くなっていく。森の仕掛けが東京DF陣を複数引き連れるため、深堀隼平や北野晴矢が割と小さなプレッシャーの中でボールを持てるようになった。

こうした流れを作った中で、グランパスはきっちりと同点に追いつく。

ゴール前、森がシュートを放ったこぼれ球を深堀が押し込む。ボールを高い位置で安定してキープできれば得点のチャンスが生まれる、それを形で見せたゴールだった。

1-1で前半が終了。ここまでアグレッシブな姿勢を見せた東京に対して、グランパスのプレスはそこまで激しいものではなかった。

むやみやたらにボールを追わず、パスコースを限定させながら相手の選択肢を少なくしていくやり方を採用した。

長いボールを蹴らせたら御の字、中盤に良い形でボールを持たせないことを最優先にしていたように思う。

試合はここからかなり面白くなっていく。手がつけられない状態の森が逆転ゴール。後半終了間際に佐藤亮の同点ループ。延長で1点ずつ奪い、最後はPK戦でグランパスが勝利した。

積極的に奪いに行く東京、選択肢を狭めて徐々に追い込んでいくグランパス。非常に興味深いゲームだった。

高い位置で安定してボールをキープする方法、逆に相手にそれをさせない方法。様々なモデルがあるが、ここまで噛み合わせがハマった試合もそうはないだろう。

コース限定に特化したグランパスの整備された守備網を崩すためにあえて後ろからボールを運ぶことでプレスの発進を悩ませる駆け引きを東京が講じれば、森の個人技で東京の守備の重心をぐっと後ろに下げさせて攻守の分断に成功したグランパス。

この試合だけで文字が埋まってしまった。非常にハイレベルだった。

こんな素晴らしい戦いはめったにお目にかかれない。彼らの次のステージでの戦いでまた楽しい時間を過ごせたら。

#クラブユース

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