インサイドに攻めるということ


各地域の秋季大会は終盤を迎えている。

まだ開幕前の関東を除き、各地域のセンバツ出場有力校がポツポツと出始めている。

いよいよ野球シーズンも終わりが近づき、日本シリーズと明治神宮大会が終われば来春まで試合は行なわれない。

神宮球場がなかなか使用できない東京地区は先日、やっとベスト4が出揃った。しかしその中に今夏の話題をさらった早実の名前はなかった。

10月の3連休最終日、数多くの観客で埋め尽くされた立川市営球場。

清宮幸太郎のいる早稲田実業は、東京No.1左腕・大江竜聖の二松学舎大付に敗れ、センバツ出場が絶望的になった。

別件での用事があったが、奇跡的に早実の1,2回戦の観戦に恵まれたため、じっくりと見させてもらった。

個人的にテレビで見ていた時に抱いた謎が、少しでも解明したいと思い、必死にそのタネを探した。

なぜ、清宮のインサイドを攻めないのか…、と。

夏の甲子園、今大会1回戦の小平戦を見て、強くそう思った。

アウトサイドの変化球中心の組み立て、おそらくそこが最もケガのリスクが少ないコースなのだろうが、インサイドの直球で身体を起こせたら随分と攻め方が楽になるのに、と無責任な部外者は歯痒さを感じていた。

制球に優れ、伸びのある直球を操る大江ならば、清宮禁断のインサイドのタネを明かしてくれる。

だがその期待空しく、二松学舎大付バッテリーはアウトサイド中心の配球で清宮攻略を狙った。

清宮、いつも通りにこの日もベース寄りに立つ。

インサイドには来ないだろうという諦めか、インサイドへ誘い込むための罠か。

第一打席。大江、清宮を打ち取る。

第二打席。清宮、大江から長打を放つ。

徹底したアウトサイド中心の攻め。目先だけ考えればそれでいいかもしれないが、試合全体で見ると得策なのか。

清宮は早速、第二打席から対応してきた。投げるコースさえわかれば、あとはタイミングだけを考えればいい。

やや清宮が押し気味に進めたこの対決は、第三打席のイニングにゲームが動いた。

第三打席。自分の前に待望の走者が出た清宮、適時打を放つ。

大江・今村バッテリー、第三打席にしてもう攻め方が枯渇。先制も許し、厳しい状況に追い込まれた。

第四打席。それは1点ビハインドの9回に訪れた。

大江、とにかく直球で攻める。攻め方がなくなったとき、エースは最も得意な武器で立ち向かう。

早い段階で対応してきた清宮、打球が前に飛ばない。差し込まれ気味のファールを多く打たされる。

気持ちが乗った、という表現は在り来たりすぎるがそれ以外の形容が見当たらない大江の投球だった。

決着をつけたのは、大江の直球だった。

ファールで粘る清宮のインサイド高めに渾身の一球。清宮のバットは空を切った。

狙ったインサイドか、たまたま逆球になったのか。真相はわからない。ただ強気の直球でインサイドを攻めて、三振を奪ったという結果は残る。

二松学舎大付はこの裏、土壇場で追いつく。そして10回裏、サヨナラのホームを踏んだのは大江だった。

清宮のインサイドを攻める。それはかなりのエネルギーが必要なのだろう。

ただ決着をつけたのは、そのインサイドへの攻めだった。大ケガのリスクは怖いが、清宮攻略には必ずそこを通らなければならないと改めて思った。

センバツ確定まであと2つ。

東京の熾烈な戦いは、大きな経験値を積んだ大江がいる二松学舎大付がやや有利と個人的には見ている。

#高校野球

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